木のペーパーナイフ
シンプルなペーパーナイフです。
封を切るという、それだけの道具です。その潔さがかえって想像力をかき立てるのかもしれません。色々な形にチャレンジしてきました。そしてこの形と大きさに落ち着きました。
欧米では封を切るときにハサミではなくペーパーナイフを使うことが多いですね。封印を解くという考えからナイフを使っているのかなと思います。洋封筒はよく見ると、とじる所のノリが端まで付いていません。これはペーパーナイフを入れるための隙間です。そんな文化の違いもありますね。
ペーパーナイフを使うと、紙の堅さや厚みを感じることができます。丁寧に封を開けたいときになくてはならない道具だと思います。
またあまり開けたくない封もありますね。請求書の封を切るときに心を落ち着かせるための道具でもあります。(笑)
数年前に詩人、白井明大さん主催の「旧暦のある暮らし」展のお誘いを受けてこのペーパーナイフを出しました。その時添えていただいた説明文があります。このような思いで使ってもらえて嬉しいです。
大切な手紙の封を切るということ。そこにある思い、忘れないようにしたいと思います。
パッケージは「うちもこ堂」さんにお願いしました。ギフトにも使っていただけると思います。
お手入れ方法はこちら
木のペーパーナイフ
サイズ:幅1.5×長さ20×厚み1cm
*材料の都合などでサイズは多少前後します。
メープル材またはカリン材 オイル仕上げ
価格:4,500円 (税込み:4,950円)
梱包送料を含みます
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メープル材 |
カリン材 |
Thoughts & sights / 感じること
毎年1月に神楽坂フラスコで詩人、白井明大さんの「旧暦のある暮らし」展が開催されています。彼は日々感じたこと、見たことを言葉で伝えます。とても繊細で豊かな感性をお持ちです。
年初にフラスコで話しをしていたら、近所にある「よこぐも」店主がリュックを持って現れました。
「白井さん、これですよね。」
「はい、それそれ、すごくいいなあ、お金払います。」
どうやらよこぐもの扱うリュックに一目惚れして買うことにしたようです。愛用のリュックは少し大きめで、くたびれてきたから、ちょうどいいサイズの軽快なものを探していたようです。
「ああ、でもどうしようかなあ、どうやって使おう。」
「新しいリュックに荷物を入れ替えて、古いリュックも詰めて帰ればいいじゃないですか」
と提案するも・・
「いやー、なんか最初の使い方がそんなことじゃ、このリュックが可哀想だもん。どうしようかなあ・・」
それからしばらく集った皆と話し、色々と考えた末、新しいリュックはしばらくお店で預かってもらうことにして、古いリュックで沖縄に帰ることになりました。
僕はものづくりですから、もののことをいつも考えます。作ったものがどのように使われるのかは気になりますし、友人の作ったものも大事にしています。でも、初めの使い方をどうしようかなと悩んだことはありませんでした。白井さんの思いが素敵でした。また、彼の人となり、作品の元になっている大切な気持ちを見せてもらえたような気がしました。
木のペーパーナイフは自分で展示会をするときに数本だけそっと出していました。数年前フラスコでWork Around Tableの展示会をしたときのことです。白井さんが会場に来て、「これください」とペーパーナイフを一本持って帰ってくれました。白井さんに会ったのはそれが初めてでした。
次に会ったとき
「橋本さんのペーパーナイフすごくいいですね。手紙をよく書くのでペーパーナイフ、大事なんですよ!今まで使っていたものもあるんだけど、こっちばかり使うようになりました。」
「お役に立てて、よかったです。」
ものを書く人ですから、紙にも筆記具にも思い入れがあるだろうなあと思いましたので、ペーパーナイフを気に入ってくれたのが素直に嬉しかったです。その後、年初恒例の「旧暦のある暮らし」展にお誘いがあり、ペーパーナイフを出品させてもらいました。
感じ方はひとぞれぞれですし、見えるものも、あるいは見えないものもひとぞれぞれです。感じたこと、見えたことを誰かに伝えるのはなかなか難しいことだと思います。それでもそれを教えてもらえると自分の中の世界が広がります。そうして広がった世界で新たに考えることができるようになります。
これからは「使い始め」「始まり」のことも考えます。
のちのちのことです。白井さんと妻はかつての仕事仲間で友人だと知りました。ご縁の不思議さに驚きました。
白井明大さんの「白井商店」
神楽坂に来ましたら、是非フラスコにお立ち寄りください。素敵なイベントに出会えますよ。近くの「よこぐも」もお見逃しなく。両方共に開店日のスケジュールがありますので確認してくださいね。
神楽坂フラスコ
くらしの智恵と道具 よこぐも