Studio Yutaka / かぐかんがえる

長らく個人の方からの注文で無垢材を使い、家具のデザイン、設計、制作をしてきました。これからは自分のスタイルで木の家具や道具、そして木の作品を作っていきます。日々の道具にはひと工夫し、木の作品は自由に作りたいと思います。Work Around Tableと小さい椅子は友人の作家やデザイナーとの共同企画です。同時に進行していますのでその製作も続けて行きます。

スタジオユタカの諸々は僕とスズキくんが作り、パッケージなどのお手伝いを「うちもこ堂」さんにお願いしています。友人たちに助けてもらい、みなで一緒にものづくりしています。また多くの人たちから材料を分けてもらい、お世話になっています。

ひとりでは作れません。みなと一緒に生き、できる限り自分らしくあれたらと思います。

工房は埼玉のときがわ町にあります。窓からは小さな日本の風景が見えます。小高い山々と田畑です。静かな場所です。冬は寒く、夏は暑いです。カエルやトンボ、野ねずみ・・その他色々と遊びに来てくれます。

今日もここで考え、作ります。

スタジオユタカ、ゆたか

シュワッとした飲み物を離さないユタカ


スタジオユタカ、ユタカとスズキくん

ユタカとスズキくん(クールポコ?)


スタジオユタカ、スズキくん

今日の帽子と手袋、マリオスズキ

Yutaka Hashimoto / 橋本裕

木のものづくり、「なんか楽しそうですね」といわれてしまう、ビールが好き
1963年 兵庫生まれ
1994年 米国Haywood Community College 木工科卒業
1995年 創作家具作家、安藤和夫氏の元で勉強
1997年 スタジオユタカ開設、注文家具のデザイン制作を始める
2003年 「小さい椅子」を発案、作家仲間と企画を始める
2008年 新しい家具の作り方を模索、デザイナー大治将典とWork Around Tableの企画を始める
2017年 スタジオユタカのサイトをリニューアル、穏やかなものづくりをしていこうと思う

Yuta Suzuki / 鈴木雄太

木のものづくり、一児のパパとなりました、卵が好き
1983年 千葉生まれ
2006年 ものつくり大学卒業、学生時代より各所で家具づくりの勉強
2016年 スタジオユタカで更に勉強を続ける

スタジオユタカ、うちもこ堂、橋本順子

おやつハンター

Junko Hashimoto / 橋本順子

パッケージデザイン、出会うすべての猫をかわいがる、間取りとイカが好き
1979年 福島生まれ
2013年 うちもこ堂設立


 Thoughts & sights / 私的家具の作り方

家具を作るにはいくつもの工程があり、また各工程にいくつもの選択肢があります。例えばスツールを作る場合、大きさや形、材料、構造の選び方、どの道具を使うのか、仕上げをどうするかなど、その組み合わせは際限なくあります。家具の裏側であってもたまたまそうなったということはありません。細部に至るまで、すべては作り手の考え方によります。

ひとつのものを作り上げるとき、技術、知識、経験も大事です。技術でいえば、道具を使えるようになることで自分のイメージと実際の形を合わせることができるようになります。思い描いた仕上がりに近づけるのです。一方、道具がうまく使えないとイメージとのズレが出てしまいます。自分が納得する、表現したかったことから遠いものになってしまいます。そして知識と経験はより理に適った選択をするために必要でしょう。細部の仕上げ方は「それを知っているかどうか」「きちんとしたものを見てきたかどうか」ということなのです。

家具づくりを考える時、これらのことをある程度以上心得ている必要があるでしょう。ただ、学ぶことが多岐にわたりますので時間がかかります。また学びの内容、それ自体が興味深いことですから、どうしても技術や知識の習得に気が行きます。

それでもです。技術、知識、経験が家具を作るわけではありません。その人の意志がものを作ります。

「これを作り上げよう!」と思う気持ちがものを生み出します。もちろん様々な力、エネルギーの助けを借りてです。僕らであればまずは木の力を借りています。目の前の材に意志の力をかけて、それを変容させて家具にしています。出来上がったものは材料の持つエネルギーと意志のエネルギーが合わさったもの、あるいは混じり合ったものです。

では、意志とはなんでしょう。どのように生まれるのでしょうか。子供の頃からの思い、日々考えてきたこと、無意識に得た様々なこと、喜び、悩みや苦しみもあるでしょう。きっとその人のすべてが影響していると思います。色々なことが「作りたい!」という気持ちにつながっているのです。そして作ろうと思った理由や意志は作られたものにエネルギーとして入っていきます。ものづくりを続ける内にこのように思うようになりました。また、木を削るという作業を通して教えてもらったことでもあります。

そして諸々のエネルギーからものができているのなら、何をどう作るのかということを超えて、何を思い、どう生きるのかという問いだと思いました。大きな課題ですから簡単な答えはありません。そこでまた作ります。答えはわからないけど、作ってみることから学びます。作る度に自問自答し、考え方を見つめ直し、生きていきます。

このようなものづくりでも、様々なことが未だわからないなりに、指針があります。それは丁寧に正直に作ることです。上手に作ることではなく、手と心が動く方向に進むことでしょうか。そして、ひとつひとつの作業をコツコツとやって仕上げていくことです。また評価を気にせず、身近な家族、友人のことを思いながら作ることです。不器用な作り方、生き方だと思います。でも、出来上がったものを見るときに救われます。輝く木目が静かに僕をなだめ、許してくれるのです。

考え、笑い、ときには迷い、それでもこのようにしてものを作って生きていけることは幸せです。静かに作り続けたいと思います。

・・ありがとう。

ゆたか

2017/5/1