木のバターナイフ
シンプルな形ですけど、秘密があります。
冷蔵庫から出したばかりの堅いバターを金属のバターナイフで切ろうとしたとき、厚みがないのでうまく力が入りませんでした。そもそも堅いバターを切ったりする道具ではないのかもしれません。
「木のバターナイフ」は指のかかる部分を厚くしました。刃の真上に指を乗せることができますから、しっかりと切れます。また刃にも厚みがあるのでバターが割れるように切れますから調子がいいです。
もちろん堅いバターを薄くそぐこともできますし、カマンベールチーズなどもあまりくっつかずに切れます。厚みと形状がポイントなので他のバターナイフにはない特徴かもしれません。
もう一つ、お皿の縁に立ちます。ジャムの付いたバターナイフってどこに置いたらいいのかなって思うことありません? ちょっと安心です。
木の道具の手触りや使い心地を楽しんでもらいたいなと思っています。ただ、毎日トーストにガリガリとバターを塗っているとやっぱり刃が傷んできます。その際は簡単な直し方があります。ちょっとしたお手入れも合わせて楽しんでみてください。
パッケージは「うちもこ堂」さんにお願いしました。ギフトにも使っていただけると思います。
お手入れ方法はこちら
木のバターナイフ
サイズ:幅2×長さ18×厚み1cm
*材料の都合などでサイズは多少前後します。
メープル材またはチェリー材 オイル仕上げ
価格:4,500円 (税込み:4,950円)
梱包送料を含みます
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Thoughts & sights / 手触り
ものには二つの機能があると思います。ひとつは使い勝手、使いやすさなど、いわゆる道具としての機能。もう一つは何かを想起させる機能、何かの思い出や記憶を呼び起こす機能です。ものを作るとき、この二つの機能をどう織り込むか、あるいはどう扱うかを考えることができます。
例えば、僕は「道具」と「作品」を作ります。それぞれはニュアンスやたたずまいが違うものだと考えていますが、「機能」ということで説明すれば、道具は試作を繰り返し、使い勝手を確かめながら仕上げて行きます。形のことも十分に考えますが、使いやすさを大事にしています。
一方作品は形での表現を大事にしています。道具的な機能は「なごり」として残し、家具であるための制約と考えます。一番大事な要素とは捉えません。形そのものに・・稜線と流れ、面と線の構成などに、考えていることや思っていることを託します。ですから作品には「何かを想起させる機能」がより大事です。作品を身近に置いたときに感じること、思い出すこと・・安らぎや緊張感、安心や不安、遠い過去のことや夢の世界のこと。
もちろん、一人の作家が道具と作品を作るとき、その境界は曖昧です。作品であり、道具であるもの、そういうものも自然と生まれます。
そして、この二つの機能について考える時、「手触り」を頼りにしています。ものが道具であれ、作品であれ、手で触れて使い、感じることがあるからです。手触りは「使いやすさ」にも影響し、「記憶」ともつながっています。ものを前にしたとき、五感すべてから情報は入って来ますが、触れることで静かにしみ込んでくる感覚を大事にしたいと思っています。そして感触を通して静かに語りかけられるから、言葉のその先にある感情、言葉にならない何かにもつながるのではと思うのです。
木とヒトの関係、記憶は遠い昔から続くものです。木に触れると思い出す何か、それを大事にして、それを感じながら作っていきたいのです。