木のトレイ
身の回りのものを置いておくトレイです。一日一緒に過ごした道具たちを休ませる場所。
帰宅して、ペンや財布、メガネなど・・身につけているそれらをポケットから、上着から出して、明日のためにどこかに置きます。毎日のちょっとした儀式です。
お気に入りの道具たちです。彼ら、彼女たちの小さな舞台、あるいは静かに休ませてあげる場所にしたいな、と思いました。
きれいな影で、その場所が浮き立つようにしようと思いました。設計の高さに合わせて木材を薄く削り出します。そして繊細に仕上げます。
道具たちのために、明日のために。
神楽坂フラスコではお品代、お釣りを乗せるトレイとして使ってもらっています。店主曰く「硬貨を乗せたときの音がね、気持ちいい。」 お金は共有する道具。トレイに一旦乗せてから受け渡すという作法は大事ですね。日々のことが心地よさにつながるとしたら嬉しいですね。
大きさが二つあります。標準サイズは筆記具や小物にいいと思います。ワイドはメガネや財布など身に付ける色々を乗せる余裕があります。
木のトレイ
■標準サイズ
サイズ:幅9.5×長さ22×厚み1cm
*材料の都合などでサイズは多少前後します。
ナラ材またはチェリー材 オイル仕上げ
価格:8,500円 (税込み:9,350円)
梱包送料を含みます
■ワイド
サイズ:幅14×長さ28×厚み1cm
*材料の都合などでサイズは多少前後します。
ナラ材またはチェリー材 オイル仕上げ
価格:12,000円 (税込み:13,200円)
梱包送料を含みます
■ご注文承ります
ナラ材 |
チェリー材 |
Thoughts & sights / 陰影
Ad Reinhardt(アド・ラインハート)という画家の描いた黒い画のシリーズがあります。学生時代にニューヨーク近代美術館で出会いました。真っ黒の画なのですが、近づいてよく見るとわずかに違うトーンのいくつかの黒に塗り分けられています。とても面白い画だと思いました。近づいたり離れたりしながら長い間その画を見ていました。一度塗り分けに気付くと離れて見ても、それとわかります。もう真っ黒の画ではありません。更にその画には黒い枠が額縁のように付いていて、それが前にせり出しています。その枠が黒い画に黒い影を落とします。
影に気付くと、今度はそちらの方が気になります。枠の落とす影が、その効果がとても印象的でした。
立体でものを作れば影が出ます。その影は立体の一部ですが、光の加減で形を変えます。そして立体は作り出した影で印象やイメージが変わります。すべてを計算できませんが、どのように影が出るのかを考えながらデザインすることも大事だと気付きました。それと同時に影自体がとても面白いと思ったのです。
その後もずっと画を見ていました。他の来館者はその画を見ますが、「真っ黒い画だね」と思うとすぐにそこを離れます。でも、僕がずーとその画を見ているので何かあるのかなと思ってもう一度画を見てみたり。でも、塗り分けに気付かないと面白くはないので次の画のところに行ってしまいます。
その後東京都現代美術館でも出会いました。別の1枚でしょうか。嬉しかったです。常設展にあります。
木のトレイを作るときに影のことを考えました。トレイから影が生まれ、影はトレイの一部です。いつもその形を変えながら、寄り添いながら。そしてはっきりとした影は少し特別な空気をまとわせてくれます。このトレイに必要な静かな装飾なのです。