Profile / Studio Yutaka

Profile <プロフィール>

米国に赴任中のある日ふと家具を作ろうと思いました。

アメリカにはコミュニティーカレッジという学校制度があります。そこは短大ですが、職業訓練も担っている大学です。高校卒業の資格があれば誰でも受け入れてくれるので幅広い年齢層の人たちが何かを身につけるために入学してきます。そもそもの文化の違いだと思いますが4年制、短大を含めて家具の勉強ができる大学は相当数ありました。

仕事が一段落したところで夏休みをもらい山間にある一校を訪ねてみました。不思議なもので「ああ、ここが僕の居場所だ」となんとなく感じました。入学要件は満していたので申請書を出したところ、数ヶ月後に翌年度の入学許可が下りました。新しい生き方を始めるときが来たようでした。

そして、翌年の秋、僕はその山間の学校に居ました。

すばらしい学校でした。先生たちが長くカリキュラムを練り上げてくれていたから入学してくる素人な僕たちにも馴染みやすかったです。僕は家具のこともデザインも設計も何も知らなかったし、そのために選んだ学校でしたが、すべてをちゃんと教わることができました。基本以上のこともいっぱい教わりました。今、制作活動を続けていられるのもこの時経験したことが支えになっています。思えば夢のような2年間でした。

日本に帰ると現実が待っていました。でも、それはある意味チャレンジングなこと。すべてが大変だけれど道がないということはこれからすべての道が造れるということ。日本の指物、木工の歴史は長く、ものすごい完成度だと思います。それでもいま使われている日常の家具を見れば歴史はとても浅く、これからできること、やるべきことはいっぱいあります。

スタジオユタカは注文制作の家具から始めました。そして、2004年に複数の作家との共同企画「小さい椅子」を立ち上げ、2009年友人プロダクトデザイナーと新しい家具の作り方を模索してWork Around Tableを立ち上げました。両方共に新しい考え方から始めたことなので進み方はとてもゆっくりです。それでもちょっとずつ前に進んでいるように思います。

僕の考え方やデザインはいつも支えになってくれている友人や家族とのつながりから生まれ出ていると思います。物を作るとき、使ってもらいたい人がいて、その人の喜ぶ顔を思い浮かべながら仕上げたり、身近にいる大切な人のためにデザインを考えたり・・そういうモノ作りのはじまりをずっと忘れずにいたいと思います。また、「作りたい」という気持ちにも素直でありたい。何かを作るというのはエネルギーがいりますから。良いエネルギーでモノを生み出していきたいです。

ゆっくり、しっかり、コツコツと活動していこうと思います。

料理するのが好き。


橋本裕 Hashimoto Yutaka

1963年 兵庫生まれ。
1991年 赴任先の米国、ある朝「家具を作ろう!」と思った。モノ作りの道に進むことを考える。
1992年 米国Haywood Community College 木工科入学。
1994年 卒業後帰国。
1995年 木工作家安藤和夫氏の元で勉強。
1997年 スタジオユタカ開設。注文家具のデザインと制作を始める。
2003年  「小さい椅子を作ろう!」と思った。一緒に考えてくれる仲間ができた。
モノ作りは仕事というより生活そのもの、だから仕事仲間も家族のよう。
「家族」の概念が変わった。こんな家族の輪が広がって行くといいなと思う。
2004年 chiisaiisu.com開設。
2004年 イベントで大治将典と出会う。
2008年 新しい家具の作り方を始めようと思った。大治将典とWork Around Tableの企画の準備を始める。
2009年 wat-table.com開設。
2009年秋 Studio Yutakaのサイト開設